道に迷った樵の勘左衛門が花香ただよう谷で網を張ると
どんな伝承か
北山村から一里半ほど山に入った谷間で、樵の勘左衛門が小鳥をとるための網を張って夜を明かした。ある夜、網にかかっていたのは小鳥ではなく、以前神隠しにあった仲間の嘉助と定三郎とおぼしき人間の生首だった。生首は笑いながら勘左衛門に呼びかけ、彼は恐ろしくなり無我夢中で駆け出し、いつの間にか自分の家に戻っていた。それから三、四日、恐怖のあまり床に伏せってしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。