長慶天皇の熱を下げた八幡の咳の神様
どんな伝承か
愛媛県越智郡玉川町八幡にある咳の神様の言い伝え。南北朝の時代、勢力の衰えた南朝方がこの地の奈良原山へ逃れてきた。そのとき長慶天皇は八幡の栄福寺の裏山あたりで病にかかり、熱を出してそこで一夜を明かした。その夜、天皇はお宮を造って祀れば万事うまくいくという夢を見た。そのお宮を拝むと不思議に熱が下がり、これが咳の神様になったという。村では家族が家出したり帰らなかったりするとこの神を拝み、すると近くで見つかったといい、当時は足止めの神様とも呼んだ。願をかけて治ると薬草履を納める習わしもあった。
原典より
<柳田―「咳婆」>八幡にある咳の神様には、こんな言い伝えがあります。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。