猪が導いた猪鼻の熊野神社と甘酒祭
どんな伝承か
猪鼻の甘酒祭の起こりは日本武尊にさかのぼるという。尊が三峰山や武甲山へ登る途中、猪鼻村にさしかかると、突然一匹の猪が現れた。尊がこれを追ううちに賊のかくれ家を見つけ、残党を滅ぼすことができた。喜んだ尊は大神の導きと考え、この地に社をまつった。それが今の熊野神社のはじまりである。里人は賊を討ってくれた礼に甘酒をささげた。のちに天平八年、国じゅうが疱瘡に悩まされたとき、葛城連好久卿が三峰山に参る途中この熊野神社にも祈願した。以来、尊の霊に甘酒をささげ、あわせて疫病を払う甘酒祭が行われるようになったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。