ヨウジを挿して湧いた清水
どんな伝承か
山梨県南巨摩郡増穂町天神中条の伝え。孝謙女帝が奈良田へ湯治に向かう途中、矢川の部落で一夜を過ごし、翌朝は峠を越えて西山を目指した。炎天の山道で供の者が渇きを訴えるのをお聞きになった女帝が、手にしていたヨウジを道端へお挿しになると、そこから清水がこんこんと湧き出し、供の一行は渇きをうるおすことができたという。村人はいまもこの清水をヨウジ水と呼び、山仕事の行き帰りに重宝しているとのことである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。