日蓮が空に留めた小室の法論石
どんな伝承か
小室の土録には間口一丈二尺、高さ七尺という大石があり、その上に妙石山懸腰寺の堂宇が建っている。文永のころ、東三十三ヶ国の山伏の頭領を称する善智法印が小室山妙法寺の住職であった。そこへ日蓮が来て大石に座し村人へ説法したため、怒った法印が論を挑んだが歯が立たない。法印が般若心経を誦すると大石は宙へ昇りはじめる。日蓮が法華経と題目を唱えると石は空中で止まり、法印がいくら祈っても下ろせなかった。日蓮が九字を切ると石は静かにもとの位置へ戻り、法印は弟子となって日伝と名を改め、小室山は日蓮宗の徳栄山妙法寺となったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。