頼朝の的が残る室久保川の白い岩
どんな伝承か
南都留郡道志村の室久保、その川のほとりにマトサマと呼ばれる神社がある。近くの櫓沢には、源頼朝が富士の巻狩の折に弓を射たという場所が残る。室久保川のなかの白い岩には、黒い二つの円と一つの点、左右に二本の総垂れを描いた的が三か所あり、一の矢・二の矢・三の矢と呼ばれている。櫓沢の的場からここまでは一里半ほどある。頼朝が矢を射ようとしたとき、檜や椹、樫、椿が茂って邪魔になり、暗いと睨みつけたところ木々は枯れ、以来この四種はこの土地で育たなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。