提灯を吊るした金原の信玄もろこし
どんな伝承か
牛馬の飼料に作る黍もろこしに、信玄もろこしと呼ばれるものがある。穂が大きく、首にあたる部分の茎が曲がり、そこが血のついたように赤い。永禄十二年の三増合戦のとき、武田信玄は金原のもろこし畑の一本一本に提灯を結びつけ、城内の内藤勢を威嚇した。築井城の将兵はおびただしい灯りに驚き、むなしく甲州勢の退くのを見送ったという。提灯を結ばれたためにもろこしの首はみな曲がり、負傷者の血で茎が赤く染まって、以来これを信玄もろこしと呼ぶようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。