泥だらけの地蔵と鼻取りの小僧
どんな伝承か
信心深い百姓の夫婦が、子もなく田植えどきの人手に困っていると、見知らぬ小僧が来て馬の鼻取りを手伝ってくれた。代かきも田植えもはかどり、終わると小僧は泥だらけのまま姿を消した。翌朝、夫婦が日ごろ信じる安養寺の地蔵に参ると、その身体が泥まみれになっていたので驚いた。地蔵が小童に化けて助けたと分かり、ハナトリ地蔵と呼んで農業の神とし、祭日を初日に三日の市を開くようになった。十日市場の名もこれに始まるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。