韮汁を吐いた小僧と鼻取地蔵
どんな伝承か
天和の昔、金井沢の里に、村人から仏の仁左衛門と呼ばれるほどの農夫がいた。田植えの時節、人を雇う力もなく夫婦だけで働いていたところ、頭陀の小僧が訪れたので鼻取りを頼むと、修行者として見捨てられないと言って手伝ってくれた。小僧は鼻取り棒を器用に操って馬を回し、代掻きははかどった。日が高くなると田の中の大石に腰を下ろして休み、その折に朝食べた韮汁を吐いた。夕方ふと姿が見えなくなり、泥の足跡を辿ると地蔵堂に続き、堂の地蔵が泥だらけの足で立っていた。以来これを鼻取り地蔵と呼び、休んだ石を韮石、その田を地蔵免と名づけた。後に地蔵堂が焼けた折、小さな地蔵尊は仁左衛門家の軒下の古蓑の下から見つかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第3巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全65話(山形・福島・新潟)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。