決闘の矢と三貫田の池の片目の魚
どんな伝承か
三百五十年ほど昔、宗岡のあたりを支配していた荒井仁右衛門と山口大膳が領地の境をめぐって争い、決闘に及んだ。激しい勝負の末に仁右衛門が大膳を斬り倒すと、報せを聞いた大膳の妻が弓矢を手に駆けつけ、仁右衛門の眼を射抜いた。仁右衛門が矢を引き抜いて三貫田の池へ投げ込むと、水は真っ赤に染まり血の池と変わったという。仁右衛門はこの矢傷がもとで命を落とし、それ以来、池の魚には彼の怨みが乗り移って片目になったと伝える。のちに鰻と混同され、鰻をとったり食べたりすると祟るともいわれるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。