金剛杖が湧かせた独鈷の井戸
どんな伝承か
清水にある真言宗の清水山八幡寺は、六地蔵のある寺として知られる。その西およそ五十メートルの所に独鈷の井戸がある。独鈷とは真言の秘具で、先の尖った金剛杖のことをいう。昔この土地は水の便が悪く、人々が難渋しているのを見た弘法大師が、手に持った金剛杖で大地を打った。すると玉のような清水がこんこんと湧き出し、以来どんな干天でも涸れることがなく、付近に美田が開けた。大師の徳を慕う住民が多くこの地に集まったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。