桂川家の柳と木の精の恨み
どんな伝承か
幕府の奥医師を務めた蘭方外科医、築地の桂川家には、差し渡し三尺もの柳の大木が庭にあった。伐り倒すと決めて斧を入れた晩、髪を振り乱した女が枕元に座り、自分は木の精だからあの木を伐らないでほしいと訴えた。だが蘭学者の当主は取り合わず、そのまま伐らせてしまう。その夜、血にまみれた女が現れ、この恨みは七代まで祟ると言い残して消えた。以後、桂川家には一代に一人ずつ体の不自由な者が生まれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。