旅人を食った怪物と中山峠の一本松
どんな伝承か
昔、中山の峠に大きな一本松があり、そこは昼でも人気のない淋しい所だった。通りかかると怪物に殺されるというので、夜は誰も歩かなくなった。ある日、旅人がそこを通ると怪物が現れて飛びかかり、頭から裂いて食ってしまい、骨を一本松の根もとに埋めてどこかへ去った。村人が話を聞いて翌朝行ってみると、松の幹から血が流れ出ていたという。それから五、六十年のあいだ、旅人が殺されたその日になると、いつもこの木から血が出たと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。