置いてけ堀に始まる本所七不思議
どんな伝承か
墨田区の本所一帯に古くから語られてきた七つの怪異がある。魚がよく釣れる堀で夕方に帰ろうとすると、置いてけ置いてけと呼ぶ声が水中から聞こえ、そのまま帰れば獲物を失う置いてけ堀。夜半に目覚めると出所の知れない囃子が響くばかばやし。追っても追いつけない送りちょうちん。落葉しない松浦家上屋敷の椎。太鼓を許された津軽家の火の見櫓。駒止橋の下に片側だけ葉を出す片葉のあし。火の消えたところを誰も見ない蕎麦屋の消えずのあんどん。数え方には異同がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。