眼くらべで鬼に勝った百合若
どんな伝承か
百合若は万能長者の子で、鞍馬山で修行した。四十八人の嫁を難癖をつけて返し、六条内裏へ忍び入って一人娘を玉手箱に入れさらった。内裏は百合若を退けようとケイマン国の鬼退治に遣わし、果たせば内裏を譲ると約す。四十八艘で発つが、悪毒王は夢に見て遠見が辻から船を認めた。鬼の礫は扇で払い落としたものの、風で船は沈み、百合若はコシキ小島に着いて鬼と眼くらべをして勝つ。眠るうちに手下は舟を出し、島に残された百合若は小鬼の世話で生き延びた。漁船が流れ着くと小鬼を天へ上げ、枯木に花が咲き炒り豆に芽が出たら降りて来いと言い残したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。