詠み直しで晴れた由布の空
どんな伝承か
諸国を行脚していた西行法師は豊後にとどまり、遠くに豊後富士すなわち由布山を眺めた。あまりの秀麗さに感じ入って「豊国の由布の高嶺は富士に似て」と吟じると、にわかにあたりが暗くなった。そこで詠み直し、「豊国の由布の高嶺に富士は似て、雲も霞もわかぬなりけり」と改めると、空は晴れ渡ったという。速見郡山香町では、西行が籠ったという堂を西行堂と呼び伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(山中耕作・宮地武彦(執筆・整理)/荒木博之(解説)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第13巻――北九州(福岡・大分・佐賀・長崎)』は、福岡・大分を山中耕作、佐賀・長崎を宮地武彦が執筆・整理し、荒木博之が解説を担った伝説資料集の一巻である。姫島、うつぼ舟、百合若大臣、黒髪山の大蛇退治、平家谷、炭焼小五郎、河童、白米城など、北九州四県に伝わる伝説を題目ごとに収める。各題目は口承を重んじて選んだ例話を冒頭に据え、県別の類話を梗概にして伝承地と出典名を添え、近世以後の史料を文献として抜き出す編み方をとる。