水無池の河童に押された焼き印
どんな伝承か
下仙田には水無池、別名を人無池と呼ぶ池がある。五百数十年ほど昔、瑞応院の千寿丸という小僧が池のほとりへ花を摘みに行き、あやまって池へ落ちた。和尚が護摩壇をしつらえて祈祷を始めると、池の水は生き物のように渦を巻いて北の窪地へ移り、池は干上がった。底には千寿丸を取り囲む河童たちがいた。和尚に非を諭された河童は許しを乞い、和尚は二度と悪さをしないと誓わせ、ほかの河童と見分けるため一匹ずつ焼き印を押して、新しくできた池へ移り住むよう言い渡した。以来、鏡池の河童は悪さをせず、みな焼き印の跡があるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。