根小嶽を猫嶽と呼ぶ土地の説
どんな伝承か
『南郷事蹟考』が根子岳の名の由来を記す。高嵩と根小嶽の間を火の尾越といい、南郷から阿蘇へ向かう街道の峠で、阿蘇と南郷の境にあたる。人家を離れること山路二里余りだという。土地の者は、根小嶽は猫が宮参りに登る山だから猫嶽と呼ぶのだと語り、家の猫も年を経ると急に姿を消すことがあり、それは宮へ行ったのだと言う。猫嶽で豹ほどの猫を見た、鹿ほどの大きさで尾が八尺もあった、などとも言うが、筆者は、これはみな子どもの戯れ言であろう、この山に猫のいわれなどあるものかと退けている。御山は周囲十里を越える大山で、その麓にある周囲二里ばかりの山だから根の小嶽というのだろう、と説く。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。