宮山池に吸い込まれた赤い着物の娘
どんな伝承か
寄田の殿様が宮山池で舟遊びをしようとしたが、新しく造らせた舟は岸に吸いついたように動かない。その夜、一人娘に赤い着物を着せ、赤い襷をかけて舟に乗せれば動くという夢を見た。告げのとおりにすると舟は池の中ほどまで進み、突然、娘もろとも水中へ吸い込まれてしまった。怒った殿様が村人を集めて池の水を汲み出させると、天候はにわかに荒れ、水面には大蛇が姿を現したという。村人はこれこそ池の精であったかと恐れ、以後、赤い着物を着た者は池のあたりを歩かなくなったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。