按司墓から戻った男とフチャギ
どんな伝承か
ものに迷わされて按司墓に入れられ、何も食べずにいる人がいた。そこへ辻の遊郭へ遊びに行く友だち二人が通りかかり、雨宿りに入り口へ隠れて話していると、いつのまにか後ろから、その人が二人の肩に手を置いた。手があまりに冷たいので幽霊ではないかと驚いた二人が飛び出すと、肩をつかまれたまま、その人も墓から引き出された。人間かと問うと、虫の声のような声で、ものに迷わされて按司墓に入れられ、何日も食べていないと答えたので、二人は両方から抱えて家まで連れて行った。家では、明日が四十九日という日で初七日の準備の餅を作っていたが、たいへん喜んでその餅をひきちぎり、赤豆をつけてフチャギというものを作った。それからフチャギができたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。