太陽の手に孕んだ比屋地の神の母子
どんな伝承か
比屋地の神さまは非常に美しかったので神からも欲しがられ、朝起きて便所に坐っているところへ太陽の手が差し込むように見え、誰を夫にしたわけでもないのに妊娠したという。大きい兄は父を知らぬ子を孕んだと怒って追い出したが、二番目の兄が一緒に出て家を建ててくれた。まだ茅を載せぬ半作りの家で子が生まれると、七日目に天からきれいな着物や御馳走が落ちて来た。十日にも御馳走が落ち、次の年の誕生には大きな馬がきれいな人を乗せて庭に降り、乗りたいと泣く子を乗せると、そのまま連れて行かれた。次の年の同じ日にその神が現れたので、母も天へ上がった。天の神は、わしが父だ、伊良部島の土地を渡すから降りて島の主として暮らせと言って親子を降ろした。今もこの神を御願する時は、子ども神、母神とユタに憑るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。