記録に残る下地村とヨナタマ
どんな伝承か
昔、伊良部島の内にある下地という村で、ある男が漁に出てヨナタマという魚を釣った。人の顔に魚の体を持ち、ものを言う珍しい魚だったので、明日みなで集まって賞味しようと、炭火を熾して炙り籠に載せ乾かしておいた。その夜、隣家の子どもが急に泣き出し、伊良部村へ行くと言って聞かない。母が抱いて外へ出ると、遠くから、ヨナタマはなぜ帰りが遅いのかと呼ぶ声がし、乾かされているヨナタマが、今あぶられて半夜に及ぶ、早く迎えをよこせと答えた。母子は身の毛もよだつ思いで夜中に伊良部村へ渡り、翌朝下地村へ戻ると、村はすっかり洗い流されて跡形だけが残っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。