弓を取り返したニッチェの最期
どんな伝承か
ニッチェの母が屋敷の北で栗を植えていると大雨になり、畑の北の南向きの穴で居眠りした。夢に白髪の老人が現れ、やがて男の子を産む。髪は豊かで目は鋭く歯も生えていたので畑に埋めたが、夜ごと光って泣くので神の子と悟り掘り出した。七歳で十四歳ほどの体になり弓に長じる。兄は農業神を、妹は竜宮神を信じ、妹も強弓を引いた。彼は琉球王に謁見して按司を賜ったが、形見にと妹の弓を王に留め置かれ、後に王城へ忍び入って奪い返す。王が送った千人の兵を退けた直後、水夫が天へ放った矢が頭上に当たり、茶花の北の森に立ったまま絶命した。三度目の軍勢は妹が迎え撃ち、はねられた首が呪いの歌をうたうと、軍船は暴風で残らず沈んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。