行き倒れの女を祀る手々のシバ祭り
どんな伝承か
手々のシバ祭りは、行き倒れた美しい女の霊を慰めるために始まったと伝わる。島に循環道路のなかったころ、手々と与名間の行き来には海岸の岩場や山のけもの道を通るほかなかった。その途中の遠山というところで、村の誰も見覚えのない、どこから来てどこへ行くとも知れぬ旅の女が体を休めていた。容体が重いとは誰も気づかぬまま幾日か過ぎ、女は青い小枝を握ったまま冷たくなっていた。村人は手厚く葬り、通りかかるたび青い小枝を手折って供えるようになる。以来、深い森で道に迷って行方知れずになる者は出なくなり、女の霊の加護だといわれた。道が整ったのちも、遠山を通る人は柴を供えることを欠かさなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(山下欣一・遠藤庄治・福田晃(編集執筆)・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第15巻』は、山下欣一・遠藤庄治・福田晃が奄美・沖縄本島・沖縄先島の編集執筆を分担し、福田晃が全体をまとめた伝説集である。島々の口承伝説を、市町村の民話集や大学の口承文芸研究会の採集稿、近世の文献から集め、天地や人類の始まり、島建ての神、キジムナー、蛇婿、津波、御嶽や墓の由来などを収める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、類話は地域別に配列する。