産湯で子が丈夫に育つ産ヶ淵
どんな伝承か
皆野町下田野字小龍の荒川岸に、直径一五〇センチほどの水をたたえた窪みがあり、産ヶ淵と呼ばれる。いつのころか、子を産んでも育たない夫婦がいた。神に祈り、よいと聞くことは何でも試したが実らず、半ばあきらめていた。そこへ産ヶ淵の水を産湯にすれば子が丈夫に育つという話が何度も耳に入り、次の子で試してみることにした。やがて生まれた男の子は、早く亡くなった兄姉とは違って順調に育った。話はさらに広まり、今は淵のかたわらに小さな祠が祀られ、子を望む女性たちに今もその霊験が信じられているという。
原典より
今度も皆野町に伝わるお話ですが、下田野字小龍の荒川の沿岸に直径一五○糎、深さ一八〇の水をたたえた凹穴があります。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。