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巡査まで天井に吸いつけた三沢村の怪

所在地埼玉県秩父郡皆野町大字三沢
年代伝承(口承)
登場田中勇作、器物が宙に昇った家の主の農民
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

明治四十年ごろ、埼玉県秩父郡三沢村の農家田中勇作の家で、ある日近所の農夫が持って来た鍬がひらひらと天井へ舞い上がってぴたりと吸いつき、やがて勢いよく落ちた。それから毎日のように器物が天井へ舞い上がり、味噌汁の椀が昇って膳へ落ちても汁が一滴もこぼれず、重い石臼まで昇った。疑って調べに来た駐在の巡査は、手袋が舞い上がったうえ、自分の体まで浮いて頭が天井に吸いつけられ、県の警察部長が来た日も帽子が舞い上がった。人に害はなかったが、勇作がたまりかねて大宮町から巫女を招いて口寄せをさせると、鎮守の神木の精が息子に汚された恨みだと言うので、祈祷をすると怪事はやんだという。

原典より

今度は巡査の体がフラ/\と昇つて頭が天井裏に吸着せしめられてから後元の所へ落された。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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