牛若丸が生まれたフジョウの森
どんな伝承か
白砂川が大柳生の里に差しかかる場所にタライガ淵と呼ばれる淵があり、その脇の鬱蒼と茂った森をフジョウの森という。昔、常盤御前が二人の幼子を連れ、吉野から京へ向かう途中、此瀬まで来たところで急に産気づいた。里人が困ると言うので白砂川沿いに大柳生まで下ったが、ここでも相手にされず、やむなくこの森の中で子を産んだ。生まれたのが牛若丸で、下を流れる川の水を産湯に使ったことから淵の名が付き、森もこう呼ばれるようになったと伝える。森にある平たい石を叩くと赤子の声がするといい、里人は安産の石として拝んでいる。
原典より
白砂川が大柳生の里にさしかかったところに「タライガ淵」と呼ばれているところがあり、その脇にこんもりと繁った森があり、「フジョウの森」と呼んでいる。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。