射られた雄鳥が恨む赤沼のおしどり
どんな伝承か
昔、この赤沼館に右馬允という殿様がいた。ある日、狩りに出たがさっぱり獲物がなく、むなしく帰ろうと赤沼のほとりに来ると、おしどりの一つがいがいた。家来が止めるのもかまわず矢を射て雄鳥を殺し、取ってこさせて料理させ、その晩は飲めや歌えの酒宴を張った。夜更けに家来たちが帰り、殿様も寝所で眠りについたが、夜中にうなされ、夢に美しい女があらわれて「うらめしい」と泣きながら訴えた。はっとして目を覚まし燈火を明るくすると、枕元に短冊が置かれ、恨みの歌が書かれていた。畳には血がしたたっていたという。それから殿様は発狂して行方知れずになり、一説には出家したともいう。
原典より
昔、この赤沼館に、右馬允(うまのじょう)という殿様が居た。—— 郡山の伝説(ふるさとの文化財調査事業・昭和六十一年(1986)刊/監修 大島建彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(ふるさとの文化財調査事業・昭和六十一年(1986)刊/監修 大島建彦)
福島県郡山市(旧安積郡・田村郡域、湖南・熱海・三穂田・逢瀬・西田・中田ほか各町)に伝わる伝説を、木/石・岩/水/塚/坂・峠・山/祠堂/家・村/祭礼・行事の八部門に分類して集成する。坂上田村麻呂や阿古陀媛・采女伝説・萩姫、源義家ら前九年の役の人物伝承、淵や池の主・龍神・河童、弘法大師の清水、稲荷・観音・地蔵の霊験、長者伝説や埋蔵金、隠れキリシタンなど、郡山の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を伝承地つきで網羅する。