湖底から今届いたぞと呼ぶ声
どんな伝承か
三把菅の方向が曇れば雨が降ると、福楽沢ではいっている。三把菅とは福楽沢から見て南西の方向に当たるという。その由来は次のように伝えられる。湖南のある村の村長が猪苗代湖へ釣りに出かけたが一向に釣れないので、どれほど深いかを試そうと、干した菅を持っていってつなぎ、湖へ下ろしてみた。一把使っても届かず、二把目も使い、三把目もあと一本というところで、湖の底から「今、届いたぞ」と大声が聞こえた。村長が驚いていると急に空が曇って雷鳴がとどろき、滝のような雨が降って村長は打たれて倒れた。家族に助けられ、手厚い看護で一命を取り止めたという。
原典より
猪苗代湖の上戸山潟港からと、志田浜からと、長瀬川新川崎からと、湖東の浜路港からと、直線を引いて、大崎鼻の沖合二百メートルぐらいの所でぶつかる地点は、湖水の一番深い所で昔から「三把菅」といわれて、舟方たちに恐れられている幽…—— 郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年))
『郡山の伝説』は、郡山市教育委員会が大島建彦の監修を受けて昭和六十一年に編んだ伝説集である。昭和五十九年度の「ふるさとの文化財調査事業」で調査員が市内全域から採集した伝説を中心に、郷土誌などで補った話を収め、采女伝説や坂上田村麻呂・源義家・弘法大師にまつわる話が多い。『日本伝説名彙』にならって木・石岩・水・塚・坂峠山・祠堂・家村・祭礼行事の部に分け、各話に伝承地と報告者名を添え、巻頭に監修者の解説を置く。