池子の大蛇
どんな伝承か
逗子の池子にはかつて台ヶ池という濁った古池があり、七つの頭を持ち長さ五十メートルにも及ぶ大蛇が棲んで、池のそばを通る村人や山の木こりを襲っていた。池子の大上の郷士石渡光氏は、郷士仲間の五人と語らって命を捨てても退治すると決め、村から力のある者を五十八人選んで武器を持たせた。池の岸に七つの酒樽を置いて茂みに潜むと、現れた大蛇は七つの頭を樽に突っ込んで酒を飲み、酔いつぶれて眠り込んだ。一同は斧や鎌で打ちかかり、六人の郷士の奮戦でついに仕留めた。ところがちょうど三か月後、夕食の席の六人の前に大蛇の幻が浮かび、六人ともその場で息絶えた。村人は六所神社を建てて霊を慰めたという。
原典より
デイラボッチとじんだら沼(相模原市渕野辺) 五五—— 神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。