娘の肉を供した膳洗い淵
どんな伝承か
大宮市(現さいたま市)の深作に膳洗い淵という淵がある。昔、河合村に住むお寅という美しい娘のもとへ、八人もの男が結婚を申し込んだ。生真面目な両親はどの相手を選べばよいか決めかね、思いあまってお寅を殺し、求婚者たちを招いてその肉を食べさせたという。その際に膳を洗った場所がこの淵だと伝えられる。お寅は蓮田市馬込の寅御石に祀られ、毎年三月八日には村人が米を持ち寄って祭りを行っている。
原典より
大宮市深作に、膳洗い淵がある。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。