日蓮が駒を繋いだ調神社の安産欅
どんな伝承か
浦和市岸(現さいたま市浦和区岸町)の調神社の御神木に、日蓮駒繋の欅と呼ばれる巨木がある。約七百年前、日蓮が佐渡へ流される途中にここを通り、この欅に馬を繋いで休んだと伝わる。多くの書物は、岸村の名主青山家の妻女が難産で苦しむのを救うために駒を繋いだと記し、日蓮が腹帯に題目を書いて祈ると男児が安産したので、以来この木は安産の守りとして信仰されたという。文永八年十月十一日のこととする書もある。一方『県南浦和川口要覧』は、救ったのは新倉の城主墨田時光の妻だとする。編者は、時光の妻を救った妙顕寺・妙典寺の縁起と調神社の駒繋の木の伝承が結び付いた結果と見ている。
原典より
調神社の御神木に、「日蓮駒繋の欅と」いう巨木がある。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。