厩橋城を映した御嶽山の鏡石
どんな伝承か
神川町渡瀬の字御嶽西、御嶽山の北の方に鏡石がある。『新編武蔵風土記稿』によれば大部分は土に埋もれ、表に出た部分は長さ九尺、横三間ほどの柿色の石で、向かえば人影が鏡のように映り、あたりの草木もみな映るのでこの名があるという。大正八年に内務省へ提出された『史蹟名勝天然記念物取調書』には、小豆色を帯びて平らに西へ傾き板を張ったようで四坪ほどあり、昔、厩橋城がこの岩に映ったため松葉で燻して曇らせたという碑の伝えが記されている。
原典より
高さ六尺、中四尺、長さ九尺、上面滑かで、鏡に似ているので、この名がある。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。