雄雌の大蛇が出会う慈光の七石
どんな伝承か
ときがわ町西平の慈光寺には七石が伝わり、『新編武蔵風土記稿』は信濃石、枇杷石、男我石(男鹿石)、女我石(女鹿石)、冥官石、童子石、冠石を挙げる。このうち男鹿石には雄の大蛇、女鹿石には雌の大蛇が棲み、毎年七月十五日に出会うといい、これを見た者は災いを受けるとして村人はこの辺りへ近づくことを禁じている。『郷土史調査の実例』は、二匹の大蛇が出会うのは七夕の日に限った年一度のことだとする。なお『東秩父白石の民俗』は慈光の七石として別の顔ぶれを挙げ、エベス岩・コンニャク石・クラカケ石のほか、エボシ岩やヒカリ岩、ユダレツタラシ岩、そしてペロダシ岩(またはシシ岩)を数えている。
原典より
信濃石、枇杷石、男我石(男鹿石・男ヶ野岩)、女我石(女鹿石・女ヶ野岩)、冥官石、童子石、冠石。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。