太陽を呼び戻して石になった老夫婦
どんな伝承か
横瀬町根小屋の赤穂木に、ジジイババア石と呼ばれる岩がある。ある老夫婦が田植えをしていて、あと少しで終わるというところで日が暮れた。二人がもう少し日が出てくれたらと願うと、一度沈んだ太陽が再び現れて輝いたが、その代わり二人は石にされてしまったという。別の伝えでは、赤穂木から根小屋へ出る途中の中前田の田圃に、爺と婆が寝た姿の岩があるという。この夫婦は働き者だが強欲でひねくれ者だった。草取りの途中で寝込み、目を覚ますと日が沈みかけていたので、太陽に悪口を浴びせて草取りが済むまでもう一度出ろとわめいた。すると太陽は中天に戻って輝き、二人は寝たままの姿で焼け焦げて岩になったと語られる。
原典より
根小屋の赤穂木にヂヂイババア石というのがある。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 上(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成――分類と解説 上』は、韮塚一三郎が埼玉県内の伝説を類型ごとに集めて編んだ伝説集の上巻である。片目の魚、化かす狐や狸、松・杉などの樹木、石や岩、ダイダラ坊と山、清水・渕・池・井戸にまつわる県内各地の伝説を、郷土誌や地誌、『埼玉史談』などの文献と、地元の資料提供者や話者の報告から採って収める。各話に所在地と出典を添え、話型ごとに〈解説〉を置いて全国の類例と信仰の背景を論じ、[参考]文献を挙げる。