熱田の禰宜が遊女と伊勢射和村に移り住む
どんな伝承か
竹葉寅一郎の調査によれば、伊勢の飯南郡射和村大字庄に二十二戸の被差別部落があった。この人々が自ら語るところでは、その祖先は尾州熱田の禰宜であったが、ある遊女と馴染みを重ねた後、その女が同じ郡の花岡村大字山室の出であることが露見し、禰宜の職に留まることができなくなって、ついに女を伴ってこの地へ移り来たのだという。伊勢はこの種の人民が最も多い地方であり、また当時は娼妓の最も多く出る地方でもあったと記される。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
「イタカ」及び「サンカ」(定本柳田國男集 第四巻より)(柳田國男・定本柳田國男集 第四巻・1963年(昭和38年))
『「イタカ」及び「サンカ」(定本柳田國男集 第四巻より)』は、物を乞い歩く半僧半俗のイタカや漂泊の民サンカを論じた柳田國男の論考を、昭和三十八年発行の『定本柳田國男集』第四巻から収めたものである。会津のイタカ町や奥州のイタコとオシラ神、サンカの集会と掟を、近世の地誌や古記録、各地からの聞き書きで説く。イタコの語源やイチコの分布、カムナギの階級、中世の遊女と傀儡の暮らしにも筆を及ぼしている。