原大隅守が無念の槍で突いた執念の石
どんな伝承か
川中島の七不思議に八つ目として加えられることのある話。永禄四年の大激戦で、上杉謙信がただ一騎で武田の本陣に斬り込み、信玄に斬りつけた話はよく知られている。信玄が軍扇で防いだそのとき、武田の家臣原大隅守がそばの青貝の長柄の槍で謙信を突いたが外れ、返す槍で馬を打ったので、馬は驚いて走り去り、信玄は難を逃れた。謙信を討ち損じた原大隅守は悔しさのあまり、かたわらの岩を力いっぱい槍で突いた。そのときにできたのが、いまも残る執念の石の穴だという。
原典より
信玄は窮地を脱し得たが、謙信を突き損じた原大隅は無念やる方なく、傍らにあった岩を えいッ とばかり突いた時できたのが、今に残る執念の石の穴だといわれる。—— 信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年))
『信州七不思議』は、降幡利治が昭和五十九年に著した信州各地の七不思議を集めた本である。諏訪大社上社と下社の御神渡りや筒粥に始まり、松原湖、生島足島神社、川中島古戦場、志賀高原、浄光寺、雲上寺、立石など県内各地に伝わる七不思議を、町村誌などの資料と聞き取りをもとに記す。各地の七つの事柄を箇条に掲げて関わる社寺や史跡の解説を添えるガイド風の構成で、序では越後の人が信州人の気質を評した七不思議を紹介する。