建御名方命が通った諏訪湖の御神渡り
どんな伝承か
諏訪大社上社の七不思議の第一に数えられる御神渡りは、鎌倉時代の上社物忌令にすでに見えるという。冬に諏訪湖が一面に凍ってしばらくたつと、冷えこんだ夜に氷が縮んで大きな音とともに裂け、翌日気温が上がると膨らんだ氷が裂け目に沿って垣のように盛り上がる。この氷の筋の向きでその年の豊凶を占い、諏訪市の八剣神社の氏子がしめ縄を肩に掛けて神渡り占いの儀式を行う。昔は結果を幕府へ報告しており、足利時代から五百年余りの記録が残る。上社の祭神建御名方命が下社に住む妃の八坂刀売命のもとへ通った跡と伝えられ、御神渡りがあれば氷の上を行き来しても安全だとされた。
原典より
この御神渡りの伝説は、諏訪市の上社にお住まいになっていた諏訪大社の祭神建御名方命が、下諏訪町下社にお住まいの妃の命、八坂刀売命のもとにお通いになったその跡だといい、…—— 信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年))
『信州七不思議』は、降幡利治が昭和五十九年に著した信州各地の七不思議を集めた本である。諏訪大社上社と下社の御神渡りや筒粥に始まり、松原湖、生島足島神社、川中島古戦場、志賀高原、浄光寺、雲上寺、立石など県内各地に伝わる七不思議を、町村誌などの資料と聞き取りをもとに記す。各地の七つの事柄を箇条に掲げて関わる社寺や史跡の解説を添えるガイド風の構成で、序では越後の人が信州人の気質を評した七不思議を紹介する。