井手浦のしりふり祭
どんな伝承か
小倉南区井手浦で毎年一月八日に豊作を祈願して行われる八日座祭りは、俗にしりふり祭と呼ばれている。昔、素戔嗚尊が八岐大蛇を退治したとき、切りはなされた尻尾がここに飛んできて跳びはね、その年が豊作であったことから起こったといわれる。当前の家の前庭には、長さ数メートルの藁製の大蛇が二本のマツに横長く取りつけられ、中には干し柿が入れられている。神事が済むと、神職・当前・来年の当前の三人が笏、弓矢、御幣をそれぞれ尻に当てがい、合図で大きく尻を振る。次いで神職が的に矢を放ち、太刀で大蛇を切る。見物人はどっと大蛇に押しかけて壊し、中の干し柿を奪い合う。この干し柿を食べると夏ばてしないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。