海難から救った白野江の山中観音
どんな伝承か
門司区白野江の山中東ヶ迫に、山中観音、または大池の観音と呼ばれる観音がまつられている。約三〇〇年前、四国阿波国から遠藤家など六家族が熊本へ行く途中、小倉の長浜沖で遭難したが、遠藤家の持念仏である観音大士像の加護で助かった。一族は小倉藩主の庇護で白野江山中に定住し、観音堂を建ててまつったという。遭難の際に像の片腕が破損したため、厨子の中の像は未開帳で、昔こっそり開帳した人は高熱を出したといわれる。幕末の回船業者高田屋嘉兵衛と嘉蔵が暴風から助かった礼に寄進した花瓶も残り、今は遠藤猛男宅にまつられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。