榊姫神社と婦人病の霊験
どんな伝承か
八幡西区永犬丸東町の榊姫神社の祭神は、平資盛の娘で安徳天皇に仕えた榊内侍と伝わる。寿永二年に天皇に従って九州へ下ったが婦人病で歩けなくなり、老女一人と長浜浦の海士の家で養生し、老女の勧めで榊に木綿をかけて伊勢の神に祈った。しかし壇之浦で平家が滅んだと聞いて衰え、自分の魂は榊に宿って婦人の病に苦しむ者を救うと言い残して世を去った。老女は赤坂に姫を葬って榊を植えたが地頭の長浜蔵人に追われ、筑前へ逃れる途中、産後の病で臥せる妻を持つ樵夫の家に寄り、榊を庭に立てて祈ると妻は十日足らずで全快した。評判を聞いた人々が集まって小祠を建て榊姫を祀ったのが神社の起こりで、今も婦人病の参拝者が絶えない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。