泥足で田を植えた円寿寺の不動明王
どんな伝承か
大分市上野の総社山円寿寺には、田植え不動と呼ばれる不動明王の木像がある。もとは唐の都長安の青竜寺に祀られていた像で、慈覚大師が入唐の折に持ち帰り、寺の通勇師が譲り受けたと伝わる。昔、ひどい日照りで川が干上がり、田植えができずに里人が雨乞いの相談ばかりしていた年のこと。ある夜、寺領の田から大勢の人声がするので、翌朝行ってみると、水が満ちた田に苗が青々と植わっていた。本堂の方へ続く泥の足跡をたどると不動明王の祠の前で途切れ、扉を開けると像の足が泥にまみれていた。以来この像は田植え不動と呼ばれ、その田は不動田の名で今も残るという。
原典より
扉を開けて中をあらためてみると、何と不動明王の足がすっかり泥だらけになっているではありませんか。—— 大分県の民話 第3集(土屋北彦・大分県の民話シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大分県の民話 第3集(土屋北彦・大分県の民話シリーズ)
『大分県の民話 第3集』は、土屋北彦が大分県で採集した民話と古記録の奇談を編んだ民話集である。花咲か爺や猿の恩がえし、山うばなどの昔話を方言の語りのまま載せ、狐・河童・大蛇・山童・犬神の話、大友氏泰に殺された吉弘一頓の怨霊、古代の神々が越の国や三韓へ兵を出す話などを収める。あとがきに第三集は本格昔話を中心に古記録の奇談を集めたとあり、末尾に杵築市で記したあとがきを置く。