二度網にかかった天神の古木
どんな伝承か
加須市道目の針谷家の先祖に、新八という漁の好きな老人がいた。近くを流れる利根川(いまの古利根川)が満水になったとき網を打っていると、五、六寸ほどの古木が網に入った。気にも留めずに川へ投げ返したが、また同じ古木が網にかかってきた。不思議に思ってよく見ると、それは天神の像であった。そこで村人と相談し、その場所に天神の社殿を建てたのが天喜元年八月二十五日のことだという。今も道目の上耕地の人々が崇めている天神社がそれである。
原典より
ところがたまたま五、六寸の古木が網にかかったので、何心なく波底に投げ捨てたが、再びその古木が網にかかって来た。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。