二度網に入った光る弁財天
どんな伝承か
越谷市の真正寺の弁財堂には、空海作と伝える弁財天が祀られている。この像は元荒川と旧千間堀が落ち合う場所で漁師の網に入ったものだという。漁師は初め瓦のかけらだと思って川へ投げ戻したが、再び網を打つと、また同じ像がかかった。辺りはもう暗かったのに像は光を放っていたので、霊験のあるものと悟った漁師は真正寺に弁天堂を建てて祀った。この弁財天は、空海が唐へ渡る前に江の島の古寺で護摩の灰を練って作り、背に手形を押して有縁の地で信仰を広めよと海へ投じたもので、巡り巡ってここに現れたともいう。
原典より
ところが再び網を投ずると、またしてもこの像が網にかかった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。