三本辻の泣き別れとオーサキ
どんな伝承か
児玉町の下浅見で昔あった話である。十八歳の美しい娘が夕方の畑仕事の帰り、中畑の三本辻で年老いたオーサキに取り憑かれ、腰を曲げて「ヨッコラショ」と言いながら歩くようになった。家の者が早く出て行けと脅すと、娘は、出て行けというなら油揚げを用意して中畑の三本辻まで送ってくれれば出て行く、と答えた。言われたとおり辻まで送ると、狐は別れを惜しんで涙を流したという。三本辻に「泣き別れ」という地名があるのはこのためだと伝わる。しつこいオーサキには三峯神社や古峰神社のお犬様を借りてきたともいう。
原典より
三本辻に「泣き別れ」という地名があるのは、そのためにつけられたという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。