鉄鎖で結ばれた伊弉諾神社の黒馬の絵馬
どんな伝承か
熊谷市上川上の字十二所にある伊弉諾神社の堂内には、黒い馬を描いた絵馬が納められている。村人によれば、この絵馬は堂の外に掛けてあった頃、夜中に抜け出して池の水を飲みに行ったり、田畑の作物を食い荒らしたりして人々を悩ませた。そこで堂の中へ移し、鉄の鎖で絵馬を結わえつけると、それからは抜け出さなくなったという。今も鎖で留められたままで、幅一・三八メートルの大きな江戸中期の狩野派の作として、昭和三十三年に市の文化財に指定された。
原典より
よって堂内に入れ、鉄鎖で絵馬を結んだところ、以後抜け出さなくなったという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。