手斧で足を傷つけられた絵馬の馬
どんな伝承か
吉見町御所の安楽寺、吉見観音の堂内には、狩野高峯が天明元年閏五月に描いたという極彩色の絵馬の額がある。この絵馬の馬は夜中に抜け出して荒川の水を飲みに行ったとも、田畑を荒らしたとも言われる。困った村人たちは、馬が抜け出せないように手斧で馬の足に傷をつけた。それからは田畑が荒らされることもなくなったといい、馬の蹄に見える血の痕はその手斧の跡だと伝えられる。
原典より
そのため村民は困って、馬が抜け出さないようにと、手斧で馬の足を傷つけた。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。