内郷村のオソウデンサマ
どんな伝承か
内郷村へ来てから今日で三日になる、と柳田は書き出す。この村でオソウデンサマというのは、台所の一隅の高い所にある小さな神棚で、他の地方の荒神さまのようなものである。同じ郡の根小屋村に住むイチコという者が、毎年暮に人を近郷に廻らせて配る絵札を、ここに貼っておく。鳥居の前で壮丁が馬を曳く図で、御乗込みといって、その馬の首が内に向くように貼りつけるのを良いとしている。根小屋のイチコは同時にエビス大黒の札も配らせるが、エビス大黒は二組は受けぬものだといい、すでにある家ではこの御札は断って受けないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第3巻』は、柳田国男の紀行・日記・随筆を集めた著作集の一巻である。相模・武蔵の村々を歩いた「水曜手帖」、昭和二十三年八月の自序を持つ「北国紀行」、明治四十三年の「五十年前の伊豆日記」、国際聯盟の委任統治委員会に勤めた大正十一年の「瑞西日記」と「ジュネーブの思ひ出 その他」を収める。後半の「菅江真澄」は昭和十七年二月の序を付け、真澄の著述と旅の跡を年を追ってたどり、写真解説を添える。