腰越村山中の三尺の足跡
どんな伝承か
甲子夜話に載る駿河の話である。駿河安倍郡腰越村の山中で、雪の日に足跡を見た。大きさは三尺ばかり、その間は九尺ほどずつあって、三里ばかり小路に入って続いていた。またこの村の手前に小川があり、これを一跨ぎに渡ったと思われて、川向うの二三間の所にも足跡があったという。これを山男といい、稀にはその糞を見当てることもあるが、鈴竹という竹の葉を食べるので糞の中に竹の葉が混じるという。右の村々は大井川の川上に当たる。府中江川町の三階屋仁右衛門が話したものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。