滝と池を失った十二社の景勝
どんな伝承か
江戸のころから近郊の名所として知られた十二社は、新宿駅の西十五丁ほどのところにある。もとは豊多摩郡淀橋町大字角筈字十二社と呼ばれ、昭和七年に大東京市が成立すると淀橋区の一町となった。地名の起こりは熊野十二所権現を祀ったことによる。明治の浄水場工事で高さ三丈の大滝は消え、池も余泥で狭められ、さらに新しい道路が丘と池のあいだを断ち切って、往時の幽邃さは大きく損なわれた。それでも丘の上には熊野神社が鎮座し、池のほとりには料亭や茶亭が軒を並べて絃歌が響いていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・昭和初期(1920年代~1930年代))